倶楽部の再生

ゴルフコースは「ひと」の設計により誕生したものではありません。「自然」という設計家により創造されたものです。与えられた自然環境を活かし、地域やゴルフの歴史と伝統を礎に自然との調和を基本としたものです。周囲との共存それは人ばかりでなくコースにも言えます。いずれその街、その地、その空気になんの違和感もなく溶け込むものであってほしいものです。自然との共生そして人との共生が大切です。成長した樹木はお金がかかります。苗木は廉価です。かかるのは愛情だけです。成長してゆく楽しみがあります。コースも年月と共に歴史と伝統を重ね、会員の方々を中心に来ていただける お客様と働く人々 地元の人々とともに育て成長していくものです。

ゴルフは自然の中で自分の五感を駆使して置かれている状態を自分で判断してプレーするスポーツです。審判がいない唯一のスポーツです。いやいや審判は居ますね、自分自身です。コース内には、さまざまな案内板や設置物があります。自然な状態はなにもない状態です。現実はそうはいきません。例えばOB杭。コースにおいてコースの外周がOB、境界です。コース管理はこれをひとつの目標として区域内の整備に励みます。ルール上からは隣同士の杭に注意し番号を打っておきたいものです。OB杭はコースの鏡です。まっすぐ立てましょう。バンカーレイキ。一般的なコースでコース内に約400本が点在します。使われるプレーヤーの立場にたち調整することも必要ですが「当倶楽部としてバンカーはこうする…」そういう意志を統一したいものです。ティマーカー、ヤード表示版、OB・残りヤード、修理地を表示するさまざまな杭、そして指示版など…数限りない備品がコース内に点在します。しかし余分なものは必要ありません。様々な要因で設置したものでも決して永久的な構築物ではありません。役目を終えたら取り外すことが必要です。

練習場

コースと同様に大切なのが練習場です。さまざまな運営(競技会・レッスン会・イベント他)、学校(アカデミー)等を考えてみてもほんとうに大切な施設です。ドライバー、パターは勿論のことアプローチ、バンカーなどありとあらゆるショットが練習でき、練習にだけでも訪れることが出来る施設です。

クラブハウス

「ゴルフはスポーツであって、スポーツである以上質素を旨とすべし。ゴルフは自由放任主義のスポーツであり、あれやこれやといわれてやるべきでなく、コースばかりでなくハウスのなかでもやたらと立札を造るな…」と名言を吐いた人がおられましたが…その通りです。倶楽部ハウスはもの(ハード)の快適さ・親切さを追求するがあまり、こころのあたたかさ、言葉のあたたかさ、ぬくもりを忘れています。

理事長室・支配人室は必要ですか?部屋があるのならミュージアム(倶楽部或いはゴルフの歴史を伝える部屋、展示室、図書館)に。スタート室が必要ですか?プロショップと兼用です。食堂でそんなに多くお品書き(メニュー)が必要ですか?風呂場に化粧室についたてが必要ですか?桶のお湯がシャワーの水が心ならずも隣の方にかかってしまったら「どうもすいません…」、従業員の便所は必要ですか?お客様と一緒で構いません。便所に行き、あとの人のことを考えタオルで蛇口や洗面台を拭いておく…忘れかけている躾、礼儀・作法(エチケット・マナー)を働く人が会員の方々がすすんでおこないます。あたりまえにことをあたりまえに…。

考えてみませんか、振り返ってみませんか、過去の先輩たちが築いたものを、なにか忘れていたものを、不便さの快適さ あたたかさ。華美でなくお客様そして働く人達が不便と感じることがない、なんとなく素朴で暖かく凛とした…そう考えます。そうしていくことがいつの日か、倶楽部での人生、倶楽部と共に生きる人生(倶楽部ライフ)を確立するものであると確信致します。

食堂

食べ物の基本は誠意、清潔。美味しいことそして価格が適正であることです。メニューは看板、飲物は缶、独自のもの(オリジナル)です。オープン・キッチン(お客様と正対する開かれた台所)でセルフ・スタイル。ここは観光地でもなければホテルのレストランでもありません。美味しいお米と水、地の食材・産物が基本です。

売店

スタート業務との兼務です。修理工房を備え、将来オリジナル商品を中心に品揃えをし、内外に向け販売をし、オリジナル商品を育てます。様々な企画商品だけでなく情報の交換など情報発信・交換店舗(ショップ)を目指します。

ずいぶんむかしのことになりました。全米オープンのチャンピオン・世紀の伊達男、ニッカ・ポッカで有名なペイン・スチュアートが飛行機事故で他界しました。衝撃が全米中を駆け抜けました。当時のクリントン大統領は即座に声明を送りました。あまりの速い対応に驚くと同時に、生活のなかにとけ込んでいることにうらやましく思ったものでした。その週のトーナメントは変速日程、試合中日の葬儀に主だったプロは全員参加し哀悼の意を表し再会された試合は当然の如く半期を掲げ、プレーヤーは喪章をつけプレーを終えました。なかにはニッカ・ポッカスタイルでプレーしたプロも多くいました。翌年の全米オープンは西海岸ペブルビーチで開催されました。ディフェンディング・チャンピオン、ペイン・スチュアートはもういません。選手たちは彼の栄光と最後の追悼の意を表し太平洋に向かってドライバー・ショット放ちました。不幸にして会員の方や従業員が亡くなったりしたら、倶楽部として半旗を掲げその日ぐらいは会員、働くひとびとが自然に喪章をつける…そんな倶楽部でありたい、そんな倶楽部を目指すものです。